「どんな本でも大量に読める「速読」の本」宇都出雅巳

速読は胡散臭い。


社会人になったばかりのころ「フォトリーディング」の講座を受けた。
結局、速読は身につかなった。
(著書にも書いてあるが、フォトリーディングを全否定しているわけではない)


しかし、この本で提唱している「高速大量回転法」は、
何か画期的な、ウラ技的な方法論ではなく、理にかなっている。


「本は1回で読まなければならない」という勘違いから脱却できる。


この方法を意識して読書すれば、もっとたくさん本が読めそうだ。
どんな本でも大量に読める「速読」の本

「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」池上彰

専門家との対談集。


宗教は「よく死ぬ」ための予習である、という位置づけで、
各宗教の概要に触れているが、各々かなり細かい内容もある。
それなりに基礎知識がないと置いていかれる。


人間誰しも最後は死ぬわけで、どうやって生きようかと悩む。
そこにはどうしても宗教が絡む。


人の心を理解するためにも、宗教は勉強する必要性があるだろう。
そのきっかけにはなる本。
池上彰の宗教がわかれば世界が見える (文春新書)

「日本人はなぜ無宗教なのか」阿満利麿

「あなたの宗教は何ですか?」と聞かれたら、
多くの日本人は、「…特にないです。無宗教です。」と答えてしまうだろう。


しかし、本人にとっても、実際にもこの「無宗教」というのは「無神論者」という意味ではない。


日本人特有のこの感覚を考える上で、「創唱宗教」と「自然宗教」とを
区別するのが有効であると著者は主張する。


創唱宗教」とは、教祖、教典、教団とで成り立っている宗教であり、イスラム教、キリスト教新興宗教などがこれにあたる。


自然宗教」とはいつ誰が始めたらわからない宗教。つまり、上記の教祖、教典、教団を明確に持たない。要は、日常生活で「昔から(何となく)こうしろと伝わってますよ」というもの。


日本人は、「宗教」への恐れ、つまり宗教へ取り組むことによって、生きる意味や不安へ立ち向かわけねばばらなくなること、それから逃れるために、年中行事(初詣、墓参り)を繰り返すことによって最低限の心の平安を得ることで、「創唱宗教」へ踏み入ることをしなくなった。
これは重要な点である。


これには、日本の宗教の歴史も大きく関わっている。


天皇論の内容もあったため、これはまた別の本で論点を深めたい。
日本人はなぜ無宗教なのか (ちくま新書)

「欲望について」ウィリアム・B・アーヴァイン

個人的にどストライクの本。


欲望とは何か。

欲望に悩まされている。

欲望を抑えるにはどうしたらいいのか。


こう思っている人は読むべき。

ただし、本書が欲望から解放される「特効薬」になるわけではない。


生きていく中で、自分の中で生まれる欲望とどう付き合っていくか。

欲望に流されて人生を狂わせてしまうリスクをどう防ぐか。


科学的、宗教的、哲学的アプローチもあって非常に面白い。

またじっくり読みなおしたい。
欲望について

「花ざかりの森・憂国」三島由紀夫

短編集。
すべてを読んではいないが、「憂国」だけを読めば十分だと思う。
このリアリティ溢れるエロさ、グロさは秀逸。


フィクションなのだろうが、実話ではないかと思わせるほど。


自分の生きる「覚悟」の不足を感じさせられる。
これほど再読したいと思った小説は今のところない。
花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)